シェリーが来るまで……
以前から多頭飼に憧れていた。ネットのお友達やご近所の多頭飼いの方達のお話しを聞きながら、そして実際に遊ぶ姿を見ながら……いつか我が家も……と思っていた。
マールが3歳を過ぎた頃から思い始めた。それまではヤンチャで手の掛かっていたマールがすっかり大人になってきて……
もう一つの大きな要因はやはりペットロス……
私のマールへの思いは夫も驚くほど……あれ程ノイローゼになった子育て時代を経てずっとずっとマールとの信頼関係を築いてきた。こんなにもワンがいる生活が素晴らしいものだと教えてくれたのはマールだ。
もしマールがいなくなったら……と考えただけでも涙が出た。「2頭目を迎えるなら早い方がいい」とマールの訓練士さんにも前から言われていた。夫に何度か話してみたけれどいつも答えは「No!」だった。
まぁマールの時もずっと反対されていたけれど……
我が家には高齢の姑もいたし、家の環境も多頭飼い出来るようなスペースもなく……勿論経済的な事も体力的な事も考えなければならなかった。正直諦めていた。
しかし、今年大きな転機が……引っ越しだ。
今の家は以前の家より土地は狭くなったものの、工場や他のスペースが不必要になった分、住居空間を広く取ることが出来たのだ。
引っ越しが済んで一段落した頃だったか……夫がポツリと……「もう1頭飼ってもいいかな……」
「えっ?」一瞬自分の耳を疑った。あれ程「No!」の連発だったのに……いやはや何故だろう?
家のスペースは広くなったものの、体力的なことや、経済的なことは解決された訳ではないし……
大体我が家のもう1頭……というのは最初からラブしか考えていないのだから……
そして迎えるならパピーではなく、キャリアチェンジにしようということになった。
理由はやはりマールの時の育児ノイローゼが深く、またあの大変さを味わうことはちょっとヘビーに感じていた。確かにパピーは可愛い……しかし在宅で仕事をしているし、かなりの時間を育児に割かれることは厳しいと思った。マールのヤキモチも心配だった。孫が来た時の様子からしてもしパピーが来たらきっとマールのストレスが……
以前からキャリアチェンジの話はゆず&ケリーママさんから聞いていたし、お友達でキャリアチェンジ犬を引き取った方もいた。
鉄は熱いうちに打て!キャリアチェンジの女の子に決定!1頭ずつの散歩は厳しいので一緒に散歩するにはやっぱり女の子の方が力も弱いだろうし……
この直後に丁度北海道盲導犬協会のオープンデーというのがあってゆず&ケリーママさんと出掛けることに……ここでキャリアチェンジの担当の方にお話しを聞くと、10人位は待っているとのこと……
私とすればその位なら待ってもいいと思った。今すぐ欲しいという訳でも無かったし……
一生一緒に過ごすのだからきちんとこちらの希望を伝えた方が良いと考え、条件はかなり書いた。
1.イエローの女の子
2.ラブ、もしくはF1(ラブ×ゴル)
3.足の丈夫な子
4.アレルギーの無い子
5.ある程度訓練に入ってからキャリアチェンジとなった子
以上の5つである。
そして早速申込用紙を貰ってきて、郵送し登録完了となったのだ。後は待つばかりなり!
8月に一度盲導犬協会に電話を入れた。「あと、どれくらいでしょうか?」
何と返事は「2番目です。」とのこと!やった〜!あともう少しだ〜何故なら9月はパピーウォーカーの委託終了式があり、沢山のパピー達が協会に戻ってくるからだ。
条件の5.には当てはまらないけれどこのパピーでもいいかな〜と思っていた。
電話では「昨年から訓練してきた子がいるんですが、今の段階ではまだ……」とのことだった。
仮にキャリアチェンジになったとしてもパピーウォーカーさんが引き取る可能性があるからだ。
2番目と聞いてからはもう心ワクワクドキドキしながら、多頭飼いになったら〜なんて考えて過ごしていた。
すでにカラーもリードも用意していた。イエローでも白っぽい子、茶系の子、色々だからどちらでも似合うような色を一応選んでおいた。
しかし10月も半ばを過ぎたと言うのにまだ連絡無し……もうそろそろ……とはやる心を必死に押さえ電話のベルが鳴るたびにドキドキ……こんな日々が続いていた。えぇぇい!こっちから電話しちゃえ〜!
と思い切って電話を入れた。すると「はい、●●さんの番ですね、連絡しなければと思っていたのですが……もういつ見に来てくれてもいいですよ〜」との返事!ヤッタヤッタヤッタ!
速攻で「明日行きます!」そしてあまりの嬉しさにゆず&ケリーママさんに電話して報告。当日ママさんが付いていってくれると言う……何とも心強い!有難い!
こうしてゆず&ケリーママと夫と私の3人で出掛けた。
まずはシェリーの訓練士さんにお話しを聞いた。何故不適格となったのか……シェリーはちょっと落ち着きがなかったようだ……そして性格や普段の様子を色々聞き、ついにシェリーとのご対面となったのだ。
第一印象は正直……「ブサイク……」(シェリー、ごめんね〜)
シッポはブンブンしてたけどあまり愛想のいい方ではなかった……ちょっと散歩してみた。確かに散歩はしやすい。アレルギーのせいか、目がちょっと腫れぼったい感じと、目やにが気になった。でもマールよりはるかに小さいし、華奢だ……やっぱり女の子だな〜1年間の訓練をしただけのことはあって確かに落ち着いていた。
あまりに嬉しくてこの日のために用意しておいたリードとカラーだけはしっかり持ったものの、カメラを持つのをすっかり忘れ……ゆず&ケリーママさんが写真を撮ってくれました。
次に一応、今年委託終了したパピーも見せてもらった。シェリーよりは体格も良くメチャメチャ元気!思いっきり引っ張る引っ張る〜顔は可愛かったけどこれじゃ、やっぱり2頭の散歩は無理だな……
夫にどうする?って聞いたら何とシェリーよりも2頭目の子の方が好きだという……
多分、夫はあのお転婆ぶりが気に入ったのだろう……でも……散歩するのは殆どが私なんだけど……
夫はこの後仕事の約束があり、行かねばならず「後は、お前に任せる!」と言って行ってしまった。
はぁ〜任せると言われてもね〜ゆず&ケリーママさんが「自分で躾ると言う気持ちならあの子もいいけどね〜」と言った。でもそんな時間も余裕も無いし……
で、最後にもう1頭……男の子の訓練済みのキャリアチェンジ犬を見せてもらった。男の子だけど訓練しているのでやはり引きは強くない。でもやっぱりマールとの関係を考えると女の子は譲れないし……
そしてどの子もやはりアレルギーはあるとのこと……シェリーが一番その中では症状は軽いようだ。
出先から夫が電話をしてきた。「やっぱり散歩のことを考えると1頭目(シェリー)がいいかもな……」と。
結局迷った結果、シェリーを取り敢えず何日か預かってマールとの相性を見てみることにした。
そしていつも食べているフードを分けてもらって協会を後にした。
マールとの対面……
いきなり私が連れて家に入るより外で会わせてから入れた方が良いとのアドバイスをゆず&ケリーママさんから頂き、お手伝いしてもらって、外でまずは顔合わせ!
お互いシッポフリフリ〜臭いクンクン〜まずは大丈夫そう……
シェリーは家中をチェックし、マールはその後を付いて歩く……
取り敢えずオシッコをさせなければ……シェリーは人工芝でするように訓練されているという……
マズイ!我が家のバルコニーは全面人工芝……トイレシートの上で果たしてしてくれるだろうか……
トイレシートの上で「シーシー、ベンベン」と声を掛けるが嫌がってしない。
案の定、風除室からバルコニーに出たら「クンクン……シャァ〜」とやってくれた。その上にマールがマーキング……あちゃぁ〜こりゃトイレの面は先が思いやられるな〜まぁ気長にやるか〜
一段落してゆず&ケリーママさんが帰られた。その後からが大変!
もう相性良すぎて遊びまくり〜何とシェリーがマールに乗っかる乗っかる!これは順位付けなのか?それとも遊びなのか……そしてマールの首や顔を噛む……勿論本気ではなくジャレている。やや暫くずっと遊んでいた。何だかとっても嬉しかった!まぁ今日は初対面だから二人とも興奮しているのもあるだろうし……
落ち着いたらこんなに派手にやらかすこともないかも……とその時は感じたが現在もまだ日課のように続いているこの二人のガウガウバトル!とてもこの時もシェリーは盲導犬訓練を受けた子とは思えない……
凄まじいお転婆娘である。マールは手加減したり、お腹を出しているのに一向に止めようとしないし、マールが我慢の限界で怒りだしても全然懲りない……へこたれない……素晴らしい根性の持ち主のようである。
夫が「お前に似てる……」とポツリ……「マールは俺に似て温厚だからな〜」
「はいはい、そうですか〜」30分位ガウガウバトルを続けやっと二人とも落ち着いたよう……
それぞれ離れてお昼寝〜
夕方は初の2頭の散歩!緊張しながらの散歩となった。
でも思ったより大変ではなかった。マールは初日とあってシェリーのことが気になるのか……あまりマーキングもせず、シェリーに付いて歩いていた。住宅街は2頭を左に付けて歩き、いつもの散歩コースに入ってから両側に付かせて歩かせた。シェリーは楽しそうにクンクン臭いを嗅ぎまくり、会う相手、相手に挨拶をしたがる……確か訓練士さんの話だとあまりワン好きではないと聞いたような……
よそのワンに行った時にマールの反応が一番心配だったけれど意外と問題はなかった。
風太君と大ちゃんに会った。これから仲良くしてね!早々にご挨拶が出来て良かった!
この日、シェリーは散歩ではウン●はしなかった。訓練で散歩に行く前に済ませ、散歩中はしないようにしてあるからだ。しかし、散歩前もチャレンジしたけれどしなかったし、帰ってきてからもしなかった。
夜にもう一度チャレンジするか〜と思っていた。
そして事件は起きた……
夫が寝るというのでマールとシェリーをベッドに連れて行った。我が家にはハウスは無いし、マール同様一緒にベッドで寝かせてみようと思った。ベッドの上をクンクン……「ん?」と思った瞬間しゃがみ込み……
「ぎゃぁぁぁぁ〜」ウン●した〜!!!!
慌ててバルコニーへ連れ出すと思いっきりしてくれた。
シェリー、一体何を思ったか……よっぽど緊張していたのか……
幸いにも硬めのウン●で助かったよ〜あぁビックリした。でもシェリーの緊張感を考えると切なくなった。
そうだよね〜いきなり環境の変わった誰も知らない所に来たんだものね……
シェリー、ごめんね!でもお母さんもお父さんもこれから一杯一杯シェリーを愛していくからね!
きっと家の子になって良かった!って思ってもらえるように頑張るよ〜と話し掛けました。
その夜はシェリーが気になって熟睡出来なかった。一応一緒のベッドで寝たけれど熟睡出来ているだろうかと何度も何度も目が覚めた。どうか明日も下痢などせずに元気でいますように!
4時に目が覚めた……シェリーはちゃんとベッドで寝ていた。良かった!一安心!
一度バルコニーに出してシッコとウン●をさせた。上手にしてくれた。良かった〜
アレルギーのことや、目のこと(シェリーは目が開きづらく目尻を切る手術をしていた)、色々心配なことも多々あった。でも何よりもマールとの相性の良さを一番に考えた。マールはヤキモチを焼くことも殆ど無くシェリーを見守ってくれていた。マールとの出会いも縁、そしてシェリーと出会ったのも縁なのだ。この縁を大切にしていきたいと思った。
こうしてお試し期間3日目に正式に我が家の子にすることに決定し、協会に連絡を入れた。
シェリー!これからは仲良く、楽しく暮らしていこうね!
皆さん、突然驚かせてごめんなさいね〜ビックリさせようと思って黙っていました〜
どうぞこれからはマール共々シェリーのことを可愛がって下さいね〜